昨今「AIに仕事を奪われる」というトピックが巷に溢れています。現在の仕事がAIに奪われるのではないかという不安を持たせるトピックですよね?しかし、闇雲に人工知能に勝とうとするのではなく、人間と人工知能の違いを冷静に理解した上で、仕事のあり方を考えていく必要があります。
本記事では、人工知能と人間を比較し、人工知能のある社会でどのような働き方が生存戦略として挙げられるかまとめてみました。
人工知能と人間の違いとは?比較してみた
私達が人間という種族である以上、人工知能と比較する際に、人間が優れているのではないかというバイアスがかかる恐れがあります。よって今回は敢えて製品比較になぞらえて、可能な限り客観的に比較してみました。
運用コスト
人間も人工知能も、定期的な運用コストが指定されている場合が多いですが、その中身が異なります。
人工知能の場合、運用コストの内訳としては、システムやハードウェアのメンテナンス、学習データの更新、パフォーマンスの検証が挙げられます。人間の場合、体調管理は個人の裁量に委ねられます。学習も業務での経験やセミナーを通して自律的に更新するものです。
人間の運用コストにはさまざまなパラメーターがありますが、基準の一つとしては労働時間が挙げられます。特に、肉体に負担の大きい長時間労働や夜間早朝の労働は運用コストが上がる傾向にあります。
パフォーマンスの量と質
第一に、パフォーマンスの量の面では、AIが圧倒的に有利です。人間のように睡眠や休憩を必要としないという点でも、人間よりはるかに多くの量を生み出せます。ただし、人間の手で行う細かい作業は再現が難しいこと、人間側のニーズがないことには量産する意義は少ないことに注意する必要があります。
一方質の面では、執筆時(2024年)現在、フレームワーク問題やハルシネーションといった現象が起きない分、人間に軍配が上がります。しかし、これらの問題は今後の開発によって解消されうることでもあります。
もう少し根本的な面で比較すると、質において人間は身体的、心理的要因がパフォーマンスに影響しますが、AIは一定の水準に保たれています。どちらを良しとするかは業界の性質と考え方次第です。
カスタマイズ性
AIは基本的に客観的であり、操作する人を選ばずその人の思い通りに設定できます。しかし、知識だけでなく体験していることを前提とした物事に関しては、十分相手の意図をくみ取れないことがあります。
一方人間は人間同士の共通理解を多くの場合持ち合わせています。そのため、コミュニケーションによって相手の望むモノやサービスを提供しやすい傾向にあります。しかし、安定したコミュニケーションは難しく、カスタマーが不利益や不快感を受けるリスクもあります。
また、カスタマーが新しさを求めている場合について言及すると、人間もAIも新しいモノの提供が可能ですが、その様相も対照的です。
AIの場合は人間が一生かかっても学習しきれないデータの中から新たなパターンを見つけ出すのに対し、人間の場合は経験やパーソナリティーを元に全く新しい概念を生み出せます。
AIと人間の共存する社会で仕事はどうなるか
人工知能と人間を比較してみると、どの面においても相違点がみられて、甲乙つけがたいものでした。このことから、仕事は人工知能に奪われるのではなく、人工知能の普及と共に変化していくものという解釈が可能です。
では具体的にはどのように変化していくのでしょうか?
人間にしかできないモノづくり
前述の手作業でしか生産できないものは、特に伝統的なものに関しては「人間が作っている」ことに付加価値がつくことが見込まれます。よって、たとえ機械化が実現したとしても伝統的なものは守られていくことが予測されます。
著作物についても同様に、人間だけで作った中では、新規性に加え、作者の経験や記憶、感情が込められた作品に付加価値がつくと考えられます。なお、人間がAIを通して刺激されることもまた別の価値を生み出すことになります。
人間と人工知能が補い合うビジネス様式
均一化された業務は、AIに指示出しをした上で、AIが適切に業務出来ているかを確認する業務に切り替わると考えられます。その上で社内外とのコミュニケーションにウエイトが置かれるようになると見込まれます。
特に人と関わることをメインとした職種では、AIと共に業務する人と、相手の気持ちを汲み取ってサービスを提供する人の分業体制が敷かれることが予測されます。倫理的な側面を扱う職種でも、ビッグデータから先例を抽出し、客観的判断と主観的判断を融合させていくことで、AIを導入する恩恵が得られます。
また、長時間労働や夜間労働が多い業種では、負担解消と共に、付加価値をつけることに力を注ぐことになると見込まれます。
人間と人工知能のコミュニケーションを円滑化するサービス
AIの導入と運用の補助はもちろんのこと、AIが経験できない領域や情操面でトラブルが起きないよう、人間とAI両方への教育、法整備が必要とされます。
また、AIの導入が広がるにつれ、AIのパフォーマンスを向上させるための適切なフィードバックや、学習データの更新についてアドバイスする仕事も不可欠になります。
まとめ
今回の内容をまとめると以下の3点です。
・人間は肉体的な制約や感情に影響を受け、相手の意図を汲み取りつつ主観的なパフォーマンスが可能である
・AIは肉体的制約に縛られず、安定して客観的なパフォーマンスが可能である
・AIによって仕事はなくなるのではなく、人間ならではの能力を活かし、AIと関わり合う働き方に変わっていく
この記事を通して、AIとの共生に前向きな人もそうでない人も、AI時代に際して賢い選択ができたなら幸いです。
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