AI技術の発展により、APIを通じて画像生成やテキスト生成などの機能を簡単に利用できるようになりました。本記事では、生成AIのAPIを無料で使いたい人向けに、おすすめのサービスを紹介します。料金比較や無料枠の情報も網羅しているので、コストを抑えながら最適な生成AIのAPIを導入したい方は必見です。
生成AIのAPI無料サービスとは?
まず結論から言うと、多くの主要な生成AIのAPIには無料枠が用意されており、試用や小規模な開発には十分対応できます。GoogleのGeminiやOpenAI、Stability AIなどが提供するAPIは、開発者向けに無料利用が可能です。
生成AIのAPI無料枠の基本的な仕組み
主要な生成AIプロバイダーのAPIには無料枠があり、試用や小規模開発に利用できます。無料枠には月ごとの利用制限(トークン数や生成回数)があり、APIキー取得で利用開始できますが、商用利用には制限がある場合が多いです。
無料で利用可能な画像生成AIのAPI3選
2025年現在、無料で利用可能な画像生成AIのAPIは次のとおりです。
プロバイダ | 無料枠の詳細 | 特徴 |
---|---|---|
Stability AI (Dream Studio) | 新規ユーザー向け200クレジット無料 | Stable Diffusionモデルで高品質な画像生成 |
Hugging Face (Inference API) | 無料Tierでリクエスト数制限内での利用可能 | Stable Diffusionなど多様なモデル、プロトタイピングに最適 |
Replicate | $25分のスタートクレジット提供 | Stable Diffusionなどオープンソースモデル対応 |
Stability AIのDream Studio API

Stability AIは、Stable Diffusionモデルを提供する企業で、Dream Studio APIを通じて画像生成サービスを提供しています。
新規ユーザーに対して200クレジットの無料枠が提供され、これを利用して画像生成が可能です。商用利用も可能ですが、無料枠では制限があります。
Hugging FaceのInference API

Hugging Faceは、AIコミュニティ向けのプラットフォームで、Inference APIを通じてさまざまなAIモデルを提供しています。
サーバーレス推論APIとして、無料Tierが提供されており、リクエスト数の制限内で画像生成モデルを利用できます。たとえば、Stable Diffusionやその他のテキスト-to-イメージモデルが利用可能です。
開発者やプロトタイピングに適しており、コミュニティ主導でモデルが頻繁に更新されます。無料Tierではリクエスト数に制限があるため、小規模なプロジェクトや実験に最適です。
ReplicateのAPI

Replicateは、オープンソースのAIモデルを実行するためのプラットフォームで、APIを通じてモデルを利用できます。
新規ユーザーに対して$25分のスタートクレジットが提供され、これを利用して画像生成モデルを実行できます。クレジットはモデル実行ごとに消費され、画像生成モデルにも適用可能です。
Stable Diffusionやその他のテキスト-to-イメージモデルを提供しており、柔軟な利用が可能です。無料Tierではクレジットを使い切ると有料プランに移行する必要があります。
無料で利用可能なテキスト生成AIのAPI10選
次に、無料で利用可能なテキスト生成AIのAPIの紹介です。
プロバイダ | モデル例 | 無料枠の詳細 | 特徴 |
---|---|---|---|
Google AI Studio(Gemini) | Gemini 2.5 Pro, Gemini 2.5 Flashなど | 1分あたり1,000,000トークン、1日1,500リクエスト | マルチモーダル対応、1Mトークンコンテキスト |
OpenRouter | DeepSeek R1, Llama 3.3 70B, Mistral 7Bなど | 1分あたり20リクエスト、1日200リクエスト | 多様なモデル統合 |
Mistral(La Plateforme) | mistral-large-2402, mistral-8b-latestなど | 1分あたり1リクエスト、500,000トークン | 実験的な利用に最適 |
Hugging Face API | GPT-2, DistilBERTなど | 月間クレジット制(モデルサイズ10GB未満) | 200以上のモデル、コミュニティ主導 |
Scaleway Generative API | BGE-Multilingual-Gemma2, Llama 3.1 70Bなど | 新規顧客に1,000,000トークン | 高リクエスト制限、小規模プロジェクト向け |
Cohere API | Command-R, Command-R+など | 1分あたり20リクエスト、月間1,000リクエスト | テキスト生成とNLPに優れる |
Fireworks AI | Llama-v3p1-405b-instruct, deepseek-r1など | 無料クレジット$1分提供 | サーバーレス推論、最大6,000RPM |
ChatGPT(OpenAI) | OpenAI o3-mini, o1など | 無料枠は限定的(詳細は公式サイトで確認) | 高品質な言語生成、対話型AI |
Claude(Anthropic) | Claude 3.5 Haiku, Sonnet, Opusなど | 無料枠はリクエスト数やトークン量に制限 | 安全性重視、多言語対応、ビジョン処理 |
DeepSeek API | DeepSeek R1, DeepSeek V3など | 無料枠の詳細はOpenRouter経由で確認 | 671Bパラメータ、コスト効率高いMoEアーキテクチャ |
Google AI Studio(Gemini API)

Googleが提供するGeminiシリーズ(Gemini 2.5 Pro、2.5 Flashなど)は、テキスト生成、画像処理、コード生成、音声処理などに対応したマルチモーダル機能を備えたAPIです。Google検索と連携した情報補完(Grounding with Google Search)にも対応しています。加えて、性的表現やヘイトスピーチ、ハラスメント、危険なコンテンツをフィルタリングするなど、安全性の高い応答設計も特長のひとつです。
これらの機能はGoogle AI Studioを通じて手軽に利用でき、試験用途であれば完全に無料で利用可能です。ただし、商用利用には有料プランへの移行が必要です。
APIの利用制限は、1分あたり60リクエスト、1日あたり1,500リクエスト、そして1分あたり合計1,000,000トークン(入力+出力)となっています。また、最大1,000,000トークンのコンテキストウィンドウを持ち、長文処理にも強みがあります。
OpenRouter

OpenRouterは、DeepSeek R1、Llama 3.3、Mistralなど、複数の生成AIモデルにアクセスできる仕組みを提供しており、開発者はそれらのモデルを一つのAPIで扱うことができます。特にオープンソースモデルに特化しており、柔軟なカスタマイズが可能です。
利用制限としては、1分あたり20リクエスト、1日あたり200リクエストとなっており、小規模なプロジェクトやテスト用途に適しています。トークン制限は利用するモデルによって異なります。さらに、異なるモデル間でのパフォーマンス比較が容易にできるため、用途や目的に応じて最適なモデルを選びやすいという利点もあります。
Mistral(La Plateforme)

Mistral(La Plateforme)は、Mistral AIが提供するAPIで、同社のオープンソースモデル(Mistral-largeやMixtralなど)を活用できます。テキスト生成、コード生成、多言語処理に特化しており、特に英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語に対応しています。提供されているモデルの中には、Mixtral 8x7Bのような高性能なものも含まれています。
APIの利用制限としては、1分あたり1リクエスト、最大500,000トークンまでに設定されています。無料枠は実験的な用途に限定されており、商用利用には別途制限が課せられます。高速な推論性能(100トークン/秒)とコスト効率の高さも特徴で、さらに埋め込み生成に対応したEmbeddings APIも利用可能です。
Hugging Face API

Hugging Faceが提供するこのAPIプラットフォームでは、Stable Diffusion、GPT-2、DistilBERTなどのオープンソースモデルを利用することができ、テキスト生成、画像生成、翻訳、質問応答など幅広い用途に対応しています。
APIの利用は月間クレジット制で提供されており、利用可能なモデルはサイズが10GB未満に限定されています。リクエスト数やトークン量には制限がありますが、これらは利用状況に応じて変動します。
200以上のモデルが公開されており、テキスト・画像・音声といった多様なデータ形式に対応しています。コミュニティ主導で開発が進められているため、モデルの更新頻度が高いのも特長です。また、画像生成(Stable Diffusionなど)や自然言語処理タスクに強みがあり、PythonやJavaScriptを使った柔軟な統合にも対応しています。
Scaleway Generative API

Scalewayが提供するこのAPIは、Llama 3.1 70Bやmistral-nemo-instruct-2407、deepseek-r1-distill-llama-70bといった生成AIモデルに対応しており、主にテキスト生成やチャットアプリケーション向けに設計されています。OpenAI互換のSDK(例:Python SDK)を使用でき、LangChainやRAG(Retrieval-Augmented Generation)との統合が容易です。欧州データセンター(パリ)でホストされ、GDPRに準拠したデータプライバシーを確保しています。
現在、新規顧客に対して1,000,000トークンの無料枠を提供しています。
>>Scaleway Generative APIの詳細はこちら
Cohere API

Cohereが提供するAPIは、テキスト生成、分類、埋め込み生成に特化しており、ドキュメント処理や自然言語処理(NLP)タスクに適した構成となっています。
利用制限は、1分あたり20リクエスト、月間で最大1,000リクエストまでとなっており、トークンの上限は利用状況に応じて変動します。提供されている主なモデルは、Command-RやCommand-R+です。
このAPIは、企業向けのドキュメント処理や検索機能の最適化に向いており、軽量で高速な応答が特徴です。また、多言語に対応していますが、主に英語を中心としています。
Fireworks AI

Fireworks AIは、Llama、DeepSeek、Stable Diffusionなどのモデルに対応したサーバーレス推論プラットフォームです。テキスト生成や画像生成に利用でき、高スループットで大規模アプリケーションにも適しています。新規ユーザーにはモデルごとに異なる利用量が設定された1ドル分の無料クレジットが提供されます。
リクエストは最大で1分あたり6,000件まで対応可能ですが、条件付きの制限があります。サーバーレス構成によりスケーラビリティに優れ、オープンソースモデルを活用した開発に向いています。
ChatGPT(OpenAI)

ChatGPT API(OpenAI)は、GPT-4oやo3-miniなどのモデルをベースに、自然言語処理、対話型AI、コード生成などに対応しています。高精度なテキスト生成と優れた対話機能を備えており、テキストや画像といったマルチモーダル入力にも対応可能です。
新規ユーザーには少額の無料クレジットが提供されますが、トークン量やリクエスト数には厳しい制限があり、継続利用には有料プランが推奨されます。多くのプログラミング言語やフレームワークと統合可能で、正確性と文脈理解に強みがあります。
Claude(Anthropic)

Claude API(Anthropic)は、Claude 3.5 Haiku、Sonnet、Opusなどのモデルを提供し、安全性と倫理性に配慮した応答が特徴です。テキスト生成に加え、画像やコードを含むマルチモーダル処理にも対応しています。
無料枠は限定的で、トークンやリクエスト数に制限がありますが、研究用途に限って無料アクセスが許可されることもあります。多言語対応や長文処理に強く、企業向けのドキュメント処理や分析用途にも適しています。
DeepSeek API

DeepSeek APIは、DeepSeek R1やV3などの高性能言語モデルを提供し、テキスト生成、コード生成、質問応答に特化しています。671BパラメータのMoE(Mixture of Experts)アーキテクチャを採用しており、効率的かつ高性能な推論が可能です。
OpenRouter経由で1分あたり20リクエスト、1日200リクエストまでの無料枠を利用できますが、直接の無料利用は限定的です。英語を中心に多言語対応も進んでおり、研究開発やプロトタイピングに適しています。
無料生成AIのAPIの選び方
APIを選択する際には、テキスト生成、画像生成、コード生成、データ分析といったタスクのうち、どれに重点を置くかによって、適したモデルやサービスは異なります。
次に注目したいのが、無料枠の寛容さです。APIごとにリクエスト数やトークン使用量の上限が設定されており、それがどれだけ実用的か、また無料枠が継続的に利用可能かどうかを確認する必要があります。
また、自分のスキルレベルも選定の基準になります。セットアップが簡単で直感的に使えるものは初心者に適しており、逆に高度なカスタマイズや柔軟な制御が求められる場合は、より技術的な知識を要するAPIが適しています。
商用利用の可能性も事前に確認しておくべきポイントです。無料枠の範囲で商用利用が認められているか、あるいは有料プランへの移行が必要かは、サービスによって異なります。
パフォーマンスとモデルの特性も見逃せません。モデルの精度や応答速度、長文を扱えるコンテキストウィンドウの広さなどは、開発の快適さや品質に直結します。
最後に、統合のしやすさも実用上の大きな要素です。PythonやLangChainといった既存のツールやフレームワークとの互換性があると、既存のワークフローにスムーズに組み込むことができます。
どれを選ぶべきか?
テキスト生成を重視する場合
Google AI Studio、ChatGPT、Claudeがおすすめです。
これらは高精度で長文処理にも対応しています。Google AI Studioは無料枠が寛大で、ChatGPTは信頼性が高く、Claudeは安全性に優れています。
画像生成を重視する場合
Hugging Face、Stability AI、Replicateがおすすめです。
これらはStable Diffusionなどの高品質な画像生成モデルに対応しています。Hugging Faceは多様なモデルにアクセスでき、Stability AIとReplicateは専用プラットフォームで操作がしやすいです。
多機能・プロトタイピングを求める場合
Hugging FaceやOpenRouterがおすすめです。
複数のモデルやタスク(テキスト、画像、音声)を試すことができます。Hugging Faceはコミュニティモデルが豊富で、OpenRouterはモデル比較がしやすいです。
高リクエスト数やスケーラビリティが必要な場合
Scaleway、Google AI Studio、Fireworks AIがおすすめです。
Scalewayは最大1,000,000トークンの無料枠があり、Google AI Studioは高いリクエスト制限に対応しています。Fireworks AIはサーバーレスでスケーラブルな環境が特徴です。
安全性や倫理性を重視する場合
Claudeがおすすめです。
有害コンテンツの抑制や倫理的な応答に特化しており、企業向けにも高い信頼性があります。
予算重視でコスト効率を求める場合
Scaleway、DeepSeek(OpenRouter経由)、Hugging Faceがおすすめです。
Scalewayは無料枠が大きく、DeepSeekは高性能でコスト効率に優れています。Hugging Faceはオープンソースで柔軟に活用できます。
初心者向けで簡単に始めたい場合
Google AI Studio、ChatGPT、Scalewayがおすすめです。
Google AI Studioは直感的なインターフェースで操作しやすく、ChatGPTとScalewayはOpenAI互換のSDKで手軽に始められます。
無料生成AIのAPIによくある質問と注意点
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無料枠の利用にはクレジットカードが必要?
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OpenAIやGoogleなど多くのサービスでは、本人確認のためにクレジットカード登録が求められます。
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商用利用は可能?
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無料プランでも商用利用が許可されているものもありますが、制限付きです。利用規約を必ず確認してください。
まとめ:無料の生成AIのAPIは賢く使えば実用性が高い
- 無料で使えるAI APIは複数あり、試作・検証・小規模運用に十分
- 画像生成、対話型など用途別に選ぶことが重要
- コストがかかる前に無料枠で試すことが最適
生成AIのAPI導入を検討中の方は、まず無料で試せるサービスを使って、機能・操作感を確かめましょう。
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