AI音楽生成サービスSuno AIが、iPhoneアプリに新機能「Scenes」を追加し、ユーザーの日常をより豊かな音楽体験へと変貌させる可能性を示した。現在米国App Storeでのみ配信されているこのアプリは、従来のテキストベースの音楽生成から大きく進化し、スマートフォンならではの特徴を活かした機能を実装している。
新たに追加された「Scenes」機能では、カメラで撮影した画像や動画を即座に音楽化することが可能だ。ユーザーは撮影した素材にコンテキストとなるテキストを追加することで、より状況に合った歌詞や曲調を生成できる。生成される楽曲は30秒のビデオクリップとして保存され、InstagramやTikTok、YouTube Shortsなどのソーシャルメディアへの投稿に最適化されている。
特筆すべきは、写真ライブラリ内の過去の画像や動画にも対応している点だ。日本語でのプロンプト入力にも対応しており、あらゆる説明文から特定の単語を歌詞に組み込んだ英語の楽曲を生成するなど、柔軟な対応を見せている。
Sunoが描く未来図
様々なサービスを展開するSunoは、事業面でも大きな進展を見せている。今年5月には1億2,500万ドルの資金調達に成功し、企業価値は5億ドルに達した。サービス開始からわずか8カ月で約1,000万人のユーザーを獲得し、グラミー賞受賞者から一般ユーザーまで幅広い支持を得ている。
ライトスピード・ベンチャー・パートナーズやファウンダー・コレクティブなどの著名ベンチャーキャピタルに加え、GitHubの元CEOナット・フリードマン氏、AppleのAI開発責任者を務めたダニエル・グロス氏なども投資家として名を連ねている。
一方で、著作権保護された音楽のトレーニングデータ使用に関する懸念も指摘されている。Universal、Sony Music、Warnerなどの大手音楽レーベルから訴訟を提起され、AI開発における著作権問題という新たな課題に直面した。
しかし、Sunoは着実に事業を拡大し続けており、間もなくAndroid版アプリのリリースも予定されている。また、Microsoft Copilotへの拡張機能提供も開始するなど、プラットフォームの多様化も進めている。
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