12月9日、OpenAIは動画生成AI「Sora」を全世界で一般公開した(EUや英国を除く)。「Sora」は文章や画像、既存の動画を入力することで、新たに短い動画を生成する技術であり、2つの動画を融合して1つにする機能も備えている。このサービスは有料プラン「ChatGPT Plus」(月額20ドル)と「ChatGPT Pro」(月額200ドル)のユーザーを対象に提供され、プランに応じて利用範囲が異なる。
「ChatGPT Plus」では、720p解像度の5秒動画を月50本まで生成可能で、ウォーターマークが付く仕様だ。一方、「ChatGPT Pro」では1080p解像度の20秒動画を最大500本まで生成でき、さらにウォーターマークなしでダウンロード可能。また、プロユーザー向けには、タイムライン上で異なる指示を組み合わせられる「Storyboard」機能や、複数の動画を混ぜる「Blend」など、多彩な編集オプションが用意されている。
クリエイティブな可能性と倫理的課題
「Sora」は、生成動画のスタイルを変えたり、ループ動画を作成するなどのクリエイティブな機能を提供しており、現在の動画生成技術の中でもトップクラスの性能を誇る。特に「Sora Turbo」という高性能バージョンの導入により、生成スピードが大幅に向上している。しかし、現時点では非現実的な物理現象の生成や長時間のアクション動画に対応する際に制約があるとされる。
また、安全性の観点から、悪質なディープフェイクの防止に注力している点も注目に値する。人物が映る動画のアップロード制限や生成動画の検証機能を導入し、不正使用を防ぐ仕組みが整えられている。OpenAIはこの技術が責任を持って活用されるよう、社会全体で基準や安全対策を構築するための時間が必要だと述べている。
「Sora」は、AIを活用したクリエイティブ領域の可能性を広げる一方で、倫理的課題や技術的制約にも対応しながら進化を続けている。これにより、動画生成技術の未来に向けた大きな一歩を示している。
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